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ラピュタ幻想


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デンドロビウム ロディゲシー

小型のラン。植えられているのはクレンメリーヒルヤモリの繁殖ケージ内です。このケージは貧栄養もいいところなので徒長しまくりでかなり貧相な見た目ではありますが、それでも逞しく生き残り、毎年少ないながらも花を咲かせてくれます。

このケージには他にもサンスベリア、ブロメリア、フィカス・ベンジャミン、蔓性フィカス数種、その他小型着生ラン数種が植わっています。他にも色々と放り込んだ記憶はあるものの、厳しい環境(笑)ゆえに繁栄と淘汰が繰り返され、結果としてこのようなカオスなケージになりました。



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しかし、私はこのケージを非常に気に入っています。いくつにも株分かれしたブロメリアがケージ各所で天然の水飲み場を形成し、成長し行き場を失ったベンジャミンは繁茂した葉でケージ内に屋根を作り上げ、サンスベリアは変わることなくヒルヤモリの寝床として機能する。地表面を蔓性フィカスが覆い、その下にはシロワラジやトビムシなどの土壌分解者が繁殖し、生体の糞尿や死骸などの有機物を分解する。それらの分解によって得られる栄養で時折小型ランの花が咲く。この環境は自分にとってクレンメリーの飼育に理想的な、まさに私の大好きなラピュタのような素晴らしい箱庭的環境になりました。
ベンジャミンの屋根やその他の葉によってケージ内の一部に適度な木陰と茂みができ、人間からの目線や同居個体、光源から姿を隠してくれます。また自然孵化した幼体の避難場所としても機能します。ブロメリアは散水を受け止め毎日新鮮な水を溜めてくれるため、脱水の心配もありません。サンスベリアは背が高く散水の影響を受けないため、個体が体を休めるための寝床として機能するだけでなく、根元に水が溜まらないことから産卵場としても機能します。それ以外にも平たく大きな葉の上は、発情時の求愛・闘争時のディスプレーの場としても利用されます。適度に繁茂した草花はケージ内をクレンメリー にとって適度な湿温度に保ちつつ、オープンなエリアと茂みのような混み合ったエリアを形成し、私がヒルヤモリ類を飼育する際に最も重視している「疎密強弱」(※いけばなの言葉。作品に余白となる空間と密となる空間をバランスよく配し、強弱をつけること)を空間にもたらしてくれます。このように調和の取れた環境を狙って作るには、植物の成長や衰退・生体の行動など色々な要素の影響を考慮した上で長期的な視点を持って作らなければならないため中々難しいのですが、こうして数年かけて完成されたものになるとその嬉しさも一塩です!(放置していたら勝手に良い塩梅になっただけとも言いますが笑)。



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環境設定の甲斐もあってか、暖かくなると自然と親達は繁殖期に入り、そのままケージ内の竹筒やサンスベリアに産卵し、2~3ヶ月もすると幼体がケージ内を歩き回っているのを見かけるようになります。そのままだと流石に親に捕食されてしまうので幼体は回収しますが、まさに「ケージから幼体が湧いてくる」と言う次第です。過干渉せずに生体も自分も気楽に、環境の中で自由気ままに過ごす彼らの住処をそっと覗き見るような、そんな飼育が自分にとって最も理想とする飼育なのです。環境ごと飼うという言葉が最もしっくりくる気がしますね。

クレンメリーヒルヤモリの魅力はもちろんその容姿や可愛らしさもありますが、それはただの一面にしか過ぎないと思っています。彼らの本当の魅力は、その環境内で個体それぞれが見せてくれる変化に富んだ仕草や様子・行動でしょう。発情時の雌へのアプローチとそれに対する雌の反応、交尾の様子や闘争の際に行うディスプレー行動、気温が低い明け方や気温の高いお昼時・陽が沈む夕方それぞれの行動パターンの変化、個体間のパワーバランスによってまるで秩序だったかのように順番に餌場にやってくる様子、個体それぞれの隠れ家やお気に入りの場所の違い、別個体や人間の様子を窺う仕草や相手を威圧する前の仕草などなど・・・挙げていけばキリがないほど様々な行動や変化を見せてくれます。更にそれらは季節や時間・他個体の存在や温湿度によって影響を受け、また変化します。その様はどれだけ見ていても本当に飽きません。
近年はSNSの普及で数多くの爬虫類がネットを通じて簡単に見られるようになりました。しかしその反面なのかはわかりませんが、愛らしさや美しさにばかり目を向けたような風潮を感じることも自分はあります。もちろん外見的なものや感情的なものは確かに大切ですし、自分もこんな風に講釈垂れる立場にはないのですが、可愛いだけではなく、もっと彼らの行動に目を向けて注意深く観察することで感じられる価値や魅力があるということもより発信されていって欲しいなと時折思います。などとくだらない持論を展開してしまいましたが、まぁそれだけ飼育していて楽しいということです。良い感じに締めたかったのですが良い言葉が思いつかずただ説教くさいおじさんになってしまったので、可愛い今年生まれの幼体でも載せてお茶を濁しておきます・・・(笑)。



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口裂の夏


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アグリコラクチサケヤモリ孵化

今年もぼちぼち生まれてます。年によって結果はマチマチですが、今夏はなんだかメスの調子が良いようで、産卵までに見事な食欲を見せ、瞬く間に体を仕上げて健康的な卵を産んでくれています。酷い時は「え、何これ?」というものを尻から吐き出すだけの時もありますから、機嫌が良いのは大変結構です(笑)。これは当たり前のことではあるけど、やはり抱卵までに如何にメスに栄養を摂取させて仕上がった体に持っていくかがポイントなのだと毎年実感させてくれる。

今年はソフトシェル連中の孵卵を完全に室温管理で施工中なのですが、今のところ順調そうです。クチサケなんかは案外室温放置でもいけるもんですね。とは言っても我が家にソフトシェルの卵を産む種なんてほんの一握りしかいないのであまり試す意味もないのですが、まぁこうして試すのも楽しみの一つということで色々試行錯誤してます。あとは写真に写っている通り、近頃孵化剤に水苔を使用するようになりました。つい最近まではクチサケには樹皮培養土や赤玉を使用していましたが、ファーストシェッドの際に口に樹皮が絡んで死亡するという事故が発生したため、原点回帰ということで水苔を使い始めました。水苔はここ数年ほぼ使用しておりませんでしたが、やはり昔ならではの素材というのはどこか古典的な良さを感じますね。湿度管理も非常に楽ですし、今のところ死亡事故も再発しておらず良好そう。どんな素材も一長一短ですが、こういうところで安易に他へ答えを求めず、自分で最適解を見つけていきたいものです。

シュトンプフ

約2ヶ月ぶりの更新。最近サボりすぎですね(笑)。





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シュトンプフササクレヤモリ
Paroedura stumpffi

シュトンプフササクレが孵化しました。親はゴリゴリのWCなので、こいつはWCF1になります。もちろんCB親からの繁殖も素晴らしいのですが、やはりWC親からCBを取るのは少し違った達成感というか、何か特別なものを感じますね。





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幼体は非常に艶やかな橙色の尻尾を有しており、成体とはかけ離れた見た目をしています。生で幼体を見るのは初めてだったのですが、どこかかホオスジディクソンにも通ずる色合いの尻尾が非常に美しいですね。これを見たくて導入したので、飼育し始めた甲斐がありました。しかしホオスジディクソンといいシュトンプフササクレといい、もしかしたら私は案外橙色が好きなのかもしれないと思い始めました(笑)。今までそんなことを意識したことはなかったのですが……。

自分は決してササクレの造詣が深くはないですが、やはり種類ごとの違いがはっきりとしていて面白いヤモリですね。



好調


部屋の前に植えられたハナミズキが今年も見事に花を咲かせ、今年も良い春でした。飼育種達も季節の変わり目を感じ取ったのか、段々と活性も上がってきており、いよいよ楽しくも大変な時期になってしました(笑)。我が家はガッツリ冬眠させる種がそこまで多くないのですが、春は気温の変化で繁殖行動に移る種や春の陽気に当てられてパワーバランスを崩し喧嘩し始める奴が出てくるのでいつもてんてこ舞いです。





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特に今年はヒルヤモリ連中の調子が良く、あちこちでポコポコと孵化しています。毎度恒例のクレンメリーはもちろん、メルテンス・オルナータ・ギンボー辺りも孵化し始めました。ギンボーは繁殖させるのに1年以上かかってしまったので、個人的には非常に嬉しい。





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あとはマーテルやスタンディンギーなんかも春の陽気を感じ取ってから盛りだした。あの辺はペアリングの度に喧嘩しないか毎回ハラハラしますが、今年は穏やかに過ごしてくれそうです。マーテルは特に去年全然ダメだったので、今年は上手くいくことを願います(笑)。あとはモロンダバも自家産CBがようやく繁殖可能になってきたので、今年こそテコ入れの時でしょう。まぁ一番殖やしたくそして難しいのもモロンダバなのですけどね……。インド洋の奴とか来ないかな。

今年もこの辺りのを細々と楽しんでいこうと思います。


ヒメササクレの受難

だいぶ久々の更新。今春は色々なことに感けてすっかりブログ更新を忘れてました(笑)。先日のヴィクトリアマイルで久々に勝つことが出来たので、気分も上がりやる気も起きたので更新していきます。





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ヒメササクレヤモリWCF1

昔から最も好きなササクレヤモリ。管理ミスにより一時期は繁殖継続の危機に陥っていたのですが、もうダメかと思っていた種親のメスが見事な復活を遂げ、なんとか継続できています。一昨年、去年は温度管理を適当にしすぎてしまったので、今年からは温度管理を見直して雌雄バランス良く出るように調整していくつもり。





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残念ながら本種は今と昔では事情が少し変わってしまったヤモリの一つでもあります。以前はマダガスカル便でWC個体がそこそこの数入ってきており、ソメワケと並んで良く流通していた種という印象でしたが、2019年のワシントン条約第 18 回締約国会議によってCITESⅡ類に定められ、国際的な商取引に制限が設けられました。それも相まってか、現在ではほとんど流通しなくなってしまいました。CITESⅡ類なので普通に来てくれてもいいとは思うのですが……。

まさかこいつらが割と貴重な種になるとは露程も思っていなかったので、そんなレア種というわけでもなかったのになぁと未だに少し違和感を覚えてしまいますね。とはいえ致し方ない事情ですし、自分にできる事はこの小さいヤモリを細々と続けていくことくらいでしょう。小ささ故か少しクセがあるので決して飼育や繁殖が楽な種ではないのですが、絶やさぬよう頑張ります(笑)。